深夜の記憶

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中学生の頃、
2階の自分の部屋からは、街が見渡せた。
別に高層の人じゃない。
ただ街を見渡す高台にトタンの家があっただけ。

その窓に机があった。
勉強しながら、
サボりなら、
深夜ラジオひねりながら、
ふと目線の先には街が見えた。

ひとつひとつ消えていく家の灯り
いつまでも消えない街灯
意外と消えないマンションの灯り
響き渡る回送列車の音
それでも深夜2時をまわる頃には街はすっかり寝静まってしまっていると思われ、
この瞬間、見えているこの世界で起きているのは自分だけじゃないかと思ったりもした。

深夜はワーダーランド
眠りについた街を見下ろして
私の世界は広がり続けた

部屋や机の上の風景は何ひとつ覚えてないのに、
机から見る深夜の街の灯りのことだけ、
鮮明に覚えている。

この映像、誰とも共有できるはずもない。
遠い記憶だ。