私は私の山を登る。
一年を通して登る。
たいていは季節ごとに登る。
登って下りる山はひとつじゃない。
いくつにも連なった山々を縦走して行く。
もう何年にもなる。
登れば同じルートのはずなのに同じであった試しはない。
景色は毎回まるで違う。
若い頃は登りっ放しだった。
標高や剣ケ峰にこだわった。
ハイにもなった。
下りられなくもなった。
笑ってしまう。
今は必ず下りてくる。
下りてくることを考えて登ってる。
要領得たものだ。
果てしなく思える時もあるけれど
無事下りてきた時の達成感は何ものにも代え難い私の幸せだ。
なんでもない風な顔をしてネクタイしてても幸せだ。
私は私の山を登る。
いつだって。