無という存在がある。
存在するが実在しない。
数学的には 0(ゼロ)という。
幸せと不幸せを等しく、
同じ分だけ重ねたら、
プラスとマイナスでゼロ。
10の喜びと10の悲しみ、
100万倍の栄光と100万倍の絶望、
ささやかな喜びと一粒ほどの涙、
それぞれ等しくくり返されて
最終的には、
平らかに、安らかに、平衡する。
Empty – 0(ゼロ)でなく
Balance – 0(ゼロ)の存在
すべての理不尽や不条理も、
決して消えない哀しみも、
プラスとマイナスでいつか
0(ゼロ)に平衡して安らかになれたらいい。
人はそこに向かって
年を重ねていくんだろう。
そこに向かって
死んでいくのだろう。